ユースケース モデルとは
主に要件定義でお客様の要求事項を整理するために用いる技法です。お客様のやりたいことを、その主体(アクターと言います)がシステムに対して何を行いたいのかを書き出していきます。
そのユースケースを図に表したのがユースケース図(ユースケース ダイアグラム)です。
ユースケースでは、お客様が理解しやすい言葉、お客様のビジネスで利用している言葉を使って記述します。IT専門用語は使わないように気をつけましょう。
そのため、この作業はお客様と協力して作成することが重要です。
ユースケース図のアイテム
ユースケースは、アクター(主体)と開発対象のシステムとのやりとりを表した図で、次の3つのアイテムが基本の構成となります。
アイテム | 説明 | 表し方 (図の例) |
---|---|---|
アクター | システムの利用者(お客様)を表します 人物以外に、外部のシステム(連携している別のシステム)の場合もあります | |
ユースケース | システムが処理する概要を表します お客様が理解しやすい言葉、普段のビジネスで使っている表現で記述します。 | |
関連 | アクターとユースケースの関連を表します |
ユースケース図のサンプル
ユースケースは、アクターであるお客様の組織とシステム間でどのような処理が必要かをお客様と一緒に洗い出して記述します。下図は、注文管理システムの注文を行う部分の一部を書き出したものです。あくまでもイメージですが参考に添付します。
ユースケース モデルの目的
このように、お客様が普段のビジネスで使っている分かりやすい言葉で表現することによって、システムに必要な要求事項が整理でき、機能要件の抜け漏れを防止することができます。
ユースケース図の作成手順
ユースケースは概要レベル(大雑把な全体像をまとめる)から記述し、洗い出したユースケースをもとに詳細なユースケースに分解して作成していくと良いでしょう。
また、アクターは人物だけではなく、外部システムと関連がないか確認して書き出します。
関連する外部システムを記述したユースケース図
このサンプルでは、アクターに「商品管理システム」と「在庫管理システム」を関連する外部システムとして記述しています。
ユースケース図で気をつけること
ユースケース図を書く時、次の3点に気をつけると良いでしょう。
お客様が理解できる表現で書く
何度も繰り返しになりますが、要件定義でお客様から要求事項を整理することが目的ですので、お客様が理解できることが重要です。
お客様が普段のビジネスで使っている分かりやすい言葉で表現することを心がけましょう。
表現方法のルールを決めて統一する
システム開発のプロジェクトには複数の担当者が携わります。それぞれの担当者が考えるユースケースの表現は異なってきます。先の図の例でいくと、担当者によっては「商品を注文する」ユースケースを単に「注文する」と記述したり、もっと詳しく処理を分解して「商品を検索する」「商品の在庫をチェックする」「注文する商品を確定する」と記述するかもしれません。
プロジェクトの特性に合わせて、要件定義を開始する前に表現方法(○○を□□する)や粒度(どこまで細かく記述するか)のルールを決めましょう。
アクター全員を漏れなく記述する
関連する外部システムを含めて、システムに関わるアクター全員を漏らさずに記述することが重要です。要件定義で漏れた機能が後工程で発覚すると、機能追加するための手戻り工数が多くかかり、失敗プロジェクトへ突き進む確率が高くなります。
まずはシステムに関わるアクター全員をお客様の担当者や責任者と一緒に作成し、漏れがないことを十分に確認してからユースケースを洗い出しましょう。