業務フローは知ってるけど、As-IsやTo-Beってなに?
5W1Hじゃない?
5W2Hでもなく、5W3Hって?
業務フローを書く時に意識することってあるの?

要件定義で作成する業務フローは2種類あります。

それは、現状の姿を書く「As-Is業務フロー」と、あるべき姿を書く「To-Be業務フロー」です。

また、「5W3H」は様々なビジネスシーンで活用できる便利なフレームワークです。

業務フローを書く時に5W3H」を活用することで、必要な機能を書き漏らしたり、要件の不整合を防止することができます。

ここでは、As-IsとTo-Beの業務フローとは何か、業務フローのメリット・デメリット、5W3Hを活用した業務フローの書き方をわかりやすく解説します。

なお、業務をマニュアル化したい方、業務引き継ぎのため手順を整理したい方など、システム開発をしない方でも参考になると思います。

よろしければお読みください。

業務フローとは

業務フローは、業務のプロセスを可視化したもので、関連する前後のプロセスを矢印でつなぐことで業務の流れを直感的に理解できる図のことです。

要件定義では、システム化対象の業務を理解することから始まります。

図式化した業務フローを作成することで、お客様との認識合わせが容易になり、理解の食い違いを防ぐことができます。

そして、要件定義では2種類の業務フローを作成しなければなりません。

それは「As-Is業務フロー」と「To-Be業務フロー」です。

As-Is業務フローとは

「as is」は「現状のままで」と言う意味で、現状の姿を表した業務フローのことです。

現状の業務プロセスの手順を業務フローに書き出すことで、問題や課題をあぶり出すことが目的です。

要件定義は、現状の業務を理解することから始まります。

まずは、現状の業務プロセスを可視化できるように、お客様の業務をヒアリングしてAs-Is業務フローを作成しましょう。

To-Be業務フローとは

「to be」は「将来の」と言う意味で、将来のあるべき姿を表した業務フローのことです。

システム開発は、プロジェクトの目的を達成するための手段です。

新たに開発するシステムに必要な機能は何かなぜその機能が必要なのかをお客様と整合するためにTo-Be業務フローを作成しましょう。

As-Is業務フローが先か?To-Be業務フローが先か?

『As-Is業務フローとは』の中で、「要件定義は、現状の業務を理解することから始まります」と書きましたが、As-IsとTo-Beどちらの業務フローを先にするかはプロジェクトの方針によって変わります。

現状の問題や課題を改善するためにAs-Is業務フローを書き、それをベースにTo-Be業務フローで改善策を考えるやり方が多いとは思いますが、現状の姿は一旦考えずにゼロベースであるべき姿のTo-Be業務フローから着手するやり方もあります。

前者(As-Is)は、現状がベースとなるためTo-Be業務フローが現実的な図になりやすい反面、業務プロセスを変化させにくい方法といえます。

逆に後者(To-Be)は、目的ありきで業務プロセスを変革できますが、現状とのギャップが大きいと達成できない”絵に描いた餅”状態にならないように注意が必要です。

どちらのやり方で進めるのか、プロジェクトの方針をしっかり確認してから業務フローの作成を始めましょう。

業務フローのメリット

では、なぜ要件定義で業務フローを作成するのでしょうか?

業務フローのメリットを整理します。

業務フローのメリット
  • 現状の業務の流れが可視化され、客観的に評価できる。
  • 業務プロセスの流れに無駄な作業や処理がないかを確認できる。
  • 部門をまたがってプロセスを整理でき、事業や業務のあるべき姿を検証できる。
  • 業務の手順を理解しやすくなり、業務マニュアルや業務引き継ぎに利用できる。

少し視点を変えて見ると、「現状の業務の流れを可視化して問題点を洗い出す」「あるべき姿に業務プロセスを改善する」「作業の流れを整理して業務の標準化を検討する」等、実は要件定義でやることは、業務フローのメリットそのものだということがわかります。言ってしまえば、業務フローは要件定義を行うための重要なツールということなのです。

また、システム開発をしない方にとっても、業務を客観的に整理でき、マニュアル化や業務引き継ぎにも役立つツールですので習得して損はありません。

でも、メリットがあればデメリットもあります。

業務フローのデメリット

デメリットは、業務フローの作成に時間がかかると言うことです。

通常、要件定義では現状の業務を理解するために、お客様にヒアリングしながらAs-Is業務フローを作成します。

会社独自の業務用語があることが多く、言葉の意味を教えてもらいながら業務を理解してAs-Is業務フローを作成するため非常に時間がかかります。

初めての業界であれば業務知識も乏しくなおさらです。ともすれば、As-Is業務フローを作成するだけで時間切れとなってしまいます。

しかしながら、大事なのはAs-Is業務フローではなく、将来のあるべき姿を表したTo-Be業務フローを作成することです。

As-Is業務フローを作成するだけで時間切れとならないように、スケジュールを立ててから要件定義を進めましょう。

5W1Hでは足りない!5W3Hを意識して業務フローを書く

5W1Hとは

5W1Hとは、情報を整理するフレームワークで、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どうする)の6つの言葉で構成されており、それぞれの頭文字を取って表しています。

5W1Hも優れたフレームワークなのですが、要件定義で活用する場合は「H」が2つ足りません。

※5W1Hについては、多くの方が解説されておりますので興味がある方は検索してみてください。

5W3Hを意識して書く

上述の5W1Hに、How mach(いくらで)とHow many(どれだけで)の2つの「H」を足したものが5W3Hになります。

5W3H着眼点確認するポイント
Whenいつ時間・日次・週次・月次・順番・サイクル
Whereどこで場所・部門・会社
Who誰が人物・役割・組織・法人
Whatなにを商品・サービス・システム・画面・帳票
Whyなぜ理由・根拠・意味
Howどうする方法・手順・条件
How machいくらで価格・予算・費用
How manyどれだけで規模・数量・件数

この8つの言葉が要件定義を進める上での着眼点となります。

例えば、When(いつ)に注目して業務プロセスを確認する時は、何時の作業か、日次・週次・月次で違うのか、何か順番やサイクルがあるのか等を意識する必要があります。

また、業務プロセスのWhat(何を)は、販売している商品なのか、それとサービスなのか、システムで利用している画面や帳票なのかによって変わってきます。

このように、5W3Hのフレームワークを活用することで、業務プロセスが具体的に業務フローに反映され、必要な機能を書き漏らしたり要件の不整合を防止することができます。

上記の表に確認するポイントも記載していますので、業務フローを作成する時の参考にしてみてください。

5W3Hのフレームワークを活用しよう

5W3Hは、システム開発だけでなく、様々なビジネスシーンで利用できる便利なフレームワークです。ぜひこの機会に5W3Hのフレームワークをしっかり身につけて活用しましょう。

業務フローのメリットで説明したように、業務フローが要件定義の重要なツールであることは確かです。ですが、間違った業務フローの書き方をしていたのでは意味がありません。

要件定義をマスターするための第一歩として、業務フローの基本的な書き方を理解することが大事です。こちらで解説しています。

しかしながら、業務フローの書き方の理解だけでは不十分です。他に何が必要でしょうか?

それは、漏れなく業務を洗い出して業務フローを作成する技術です。

業務の漏れは、プロジェクト失敗に直結する重大問題です。こちらで「3つの階層で業務を漏れなく書く方法」を解説していますので、あわせてお読みください。

もし要件定義の進め方に少しでも不安がある方は、要件定義の記事をまとめていますので、こちらもあわせてお読みください。

要件定義が計画通りに完了することを願っています。

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メーカーに入社し、その後IT部門が分社独立、情報システムエンジニアとして30年以上勤務しています。これまで多くのプロジェクトに携わり、それらの経験から得た知見を覚え書きとして記録することで、厳しい現場で奮闘しているSEの皆さんの一助となれば幸いです。