プロジェクトマネジメント

【初心者必見】プロジェクトマネジメントの成果物とは?プロジェクト計画で管理すべき成果物のポイントを解説

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システム開発のプロジェクトマネージャーを任命されたけど、プロジェクトの成果物はどうすればいいの?
そもそも成果物ってなに?
作成する成果物がわからない?

成果物はプロジェクト活動の対価です。何を成果物とするか、プロジェクト開始前にお客様と合意しておく必要があります。成果物の量によって費用が変わるため、プロジェクト計画時に取り決めておく必要があるわけです。

今回は、成果物とは何か?プロジェクト計画で管理すべき成果物、具体的な成果物をわかりやすく解説します。

前回のおさらい(プロジェクト計画の書き方)

これまで、プロジェクトを成功させるためにプロジェクト計画を立てること、そしてプロジェクト計画の最初は「プロジェクト概要」をまとめることを解説しました。

プロジェクト概要がまとまったら、次はプロジェクト計画を詳細に落とし込んでいきます。プロジェクト計画でやるべきことは、そのプロジェクト概要を含めて11項目あります。

これらはプロジェクトを円滑に運営するための重要なガイドと言えるものです。この11項目をプロジェクト計画書にまとめ上げ、ゴールに向かってプロジェクトをスタートしましょう。

  1. プロジェクト概要
  2. マスタースケジュール・WBS
  3. プロジェクト体制
  4. 成果物 今回はここ
  5. 変更管理
  6. 欠陥管理
  7. 課題管理
  8. コミュニケーション計画(会議体)
  9. 要員計画
  10. リスク管理
  11. プロジェクト標準

今回は、成果物を解説します。

そもそも成果物ってなに?

成果物とは、プロジェクト活動で作成される設計書やマニュアルなどのドキュメント、アプリケーションを指します。

成果物 (せいかぶつ)とは、顧客(内部または外部)に提供することを目的としたプロジェクトの結果として生成された有形または無形の商品またはサービスのことを指す。

引用:ウィキペディア|成果物


成果物は、最終的にお客様への納品物となるため、プロジェクト活動でかかる費用の対価ということが言えます。その費用は、プロジェクトで作成する成果物の量によって変わってきますので、本格的にプロジェクトがスタートする前、つまりプロジェクト計画時点で、作成する成果物を明確にし、ステークホルダーと合意しておく必要があるわけです。

いざ、お客様に成果物を納品し、費用請求する時になって『納品物が違う、足らない』と言われないように注意しましょう。

プロジェクト計画で管理すべき成果物

成果物を作成するにあたり、以下にポイントをまとめます。

成果物を作成するタイミングは?

システム開発のプロジェクトでは、それぞれの開発工程で作成する成果物が異なります。どの工程で、どの成果物を作成するか、しっかりとプロジェクト計画に明記しましょう。

資料はどのアプリケーション(ExcelやWord、PowerPointなど)で作成するかもお客様と事前に決めておくとよいでしょう。

成果物と納品物は同じもの?

納品物とは、お客様に収める成果物です。しかし、納品物=成果物ではありません。

成果物はお客様と協議して決めるものですが、成果物の中にはプロジェクト運営で必要となる内部管理資料も含まれます。お客様にとって内部管理資料は不要となるため、成果物からそれらを除いたものが納品物となります。

お客様に納品する成果物はどれかを事前に協議しておきましょう。

成果物で進捗管理

少し話がそれますが、プロジェクト計画時点で取り決めた成果物は、各開発工程の着手前に具体的に機能単位(画面や帳票、処理単位など)を洗い出して各担当に割り当てます。

各担当者が作業して成果物を完成していくため、この成果物の完成度合いで作業の進捗状況を把握するのが一般的です。

設計書を作成する工程であれば、作成する予定の設計書のページ数に対する現時点の作成枚数で進捗を把握したり、もっと単純に担当者の感覚で50%や75%など完成度合いを報告して進捗状況を管理していきます。

担当者によって品質がバラバラにならないように、作成する成果物のフォーマットを事前に決めて、記載する内容の粒度を合わせるために事例サンプルを作成しておきましょう。

システム開発の各フェーズで作成する主な納品物

ここでは、ウォーターフォールモデルのシステム開発で作成する主な納品物の事例をまとめます。作成する納品物はフェーズによって異なりますので、フェーズ毎に分けて記載します。

これまでのプロジェクト経験より、要件定義では業務要求や業務プロセスを中心にした成果物を作成し、データ構造や外部インターフェース関連は次の概要設計フェーズで実施する事例を記載しています。

要件定義

要件定義書 ※1
 ・ステークホルダー一覧 ※2
 ・業務機能一覧
 ・業務内容定義書
 ・業務プロセス関連図
 ・業務フロー(現状フロー、新システム化後のフロー)※3
 ・業務用語集
 ・要求事項一覧
 ・ビフォーアフター図(問題・課題・ニーズ)
 ・システム構成図
 ・システム化機能一覧
 ・状態遷移図
 ・現新比較表(システム機能、非機能)
 ・非機能要求グレード ※4
運用要件書
移行計画書
全体テスト計画書
システムテスト計画書

※1 要件定義とは何か、要件定義の進め方、企画構想・要求定義・非機能要件のポイントなど、要件定義のすべてを解説しています。よろしければ参照ください。

※2 ステークホルダーとは何か、ステークホルダーのマネジメント方法、ステークホルダー一覧に記録すべき項目を解説しています。よろしければ参照ください。

※3 業務フローとは何か、業務フローの基本的な書き方や、具体的な業務フローのサンプルを見ながら業務フローを3つの階層で漏れなく書く方法も解説しています。よろしければ参照ください。

※4 非機能要件とは何か、非機能要求はなぜ必要なのか、そして非機能要件の進め方とポイントを解説していますので、よろしければ参照ください。

もし外部委託する場合は、外部委託先へRFPを提示して委託先からプロジェクト計画書を受け取りましょう。

概要設計(外部設計)

概要設計書
 ・画面仕様書(画面レイアウト、項目定義、処理機能)
 ・画面遷移図
 ・メッセージ仕様書
 ・帳票仕様書(帳票レイアウト、項目定義、処理機能)
 ・データベース設計書(ER図、テーブルレイアウト)
システム構成図(物理構成・性能評価)
移行計画書(更新)
全体テスト計画書(更新)
システムテスト計画書(更新)
結合テスト計画書

詳細設計(内部設計)

詳細設計書
 ・プログラム設計書
 ・データベース設計書(物理設計)
移行計画書(更新)
全体テスト計画書(更新)
システムテスト計画書(更新)
結合テスト計画書(更新)
単体テスト計画書
単体テスト仕様書、内部レビュー結果報告書
開発・単体テスト環境、単体テスト用データ

開発・単体テスト

プログラム(ソースコード)
単体テスト済モジュール(コンテンツ)
単体テスト結果報告書
結合テスト計画書(更新)
結合テスト仕様書、内部レビュー結果報告書
結合テスト環境、結合テスト用データ
移行ツール作成(設計、開発、テスト)
本稼働環境

結合テスト

結合テスト済モジュール(コンテンツ)
結合テスト結果報告書
システムテスト計画書(更新)
システムテスト仕様書、内部レビュー結果報告書
システムテスト環境、システムテスト用データ
移行リハーサル(テストデータ)

システムテスト(総合テスト)

システムテスト済モジュール(コンテンツ)
システムテスト結果報告書
パフォーマンステスト、負荷テスト
移行計画書(移行シナリオ、タイムチャート)
移行リハーサル(本番並データ)
移行結果報告書
システム操作マニュアル
プロジェクト完了報告書

以下は運用テスト(受入テスト)で必要となるものですが、お客様を支援する場合はこれらも対象となります。
 ・運用テスト計画書
 ・運用テスト仕様書
 ・運用テスト環境
 ・運用テスト用データ
 ・業務運用マニュアル

成果物を適切に管理してプロジェクトを成功させよう

一部を除いて成果物は納品物であり、プロジェクト活動の対価であることを記載しましたが、それと同時にプロジェクトを進めるうえでも非常に重要なものです。

プロジェクトの途中で仕様書を紛失したり、仕様改定の反映漏れで古いバージョンの仕様書で開発を進めることがあってはならないわけです。

そのため、成果物を適切に管理していくことがプロジェクトを成功に導くポイントになりますので、その管理方法もプロジェクト計画に織り込んでおくとよいでしょう。

成果物の解説はこれで終わりです。

引き続き、プロジェクト計画でやるべき11項目のガイドを解説します。これらをプロジェクト計画書にまとめ上げ、ゴールに向かってプロジェクトをスタートしましょう。

  1. プロジェクト概要
  2. マスタースケジュール・WBS
  3. プロジェクト体制
  4. 成果物
  5. 変更管理 次回はこちら
  6. 欠陥管理
  7. 課題管理
  8. コミュニケーション計画(会議体)
  9. 要員計画
  10. リスク管理
  11. プロジェクト標準

次回は変更管理について解説します。よろしければ次の記事もお読みください。

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メーカーに入社し、その後IT部門が分社独立、情報システムエンジニアとして30年以上勤務しています。これまで多くのプロジェクトに携わり、それらの経験から得た知見を覚え書きとして記録することで、厳しい現場で奮闘しているSEの皆さんの一助となれば幸いです。
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